情報取得の祝福か、脳内麻薬の呪いか? 『スマホ脳』読みましたー!!
資質糖質炭水化物足りてますか?
おやつは心の栄養素!
低収入・童貞・子供部屋おじさんの唯唯です。
今回の記事は、近所のさわや書店で平台に陳列されていた『スマホ脳』という新書が興味深かったので、その感想を書いていきます。
この記事を読むと……
そんなことを考えるキッカケになると思います!
あくまでキッカケになればいいかなぁという感じで、興味を持っていただけたら、ご自身で読んでみてほしいなぁと思います!
久々に一週間ずったり働きました
GWがあけて、週5日労働が戻ってきました。
皆さんの事業所はいかがだったでしょうか?
なんというか……
5日って長くね? めっちゃ疲れ蓄積しない? 労働は完全週休三日制にしない?
と感じていました。ダラダラしすぎた反動ですよね……
さらに、時期的にデータ入力が多くなってくる頃なのですが、僕に支給されているPCは
官公庁かどこかからの払い下げ品で、セレロンCPU,RAM4GBのダイナブック。
エクセルを開いては止まり、数値を入力しては止まり、文字を漢字変換しようとしては止まり……というありさま。
ダイナブックは悪くないのですが、さすがに年季が入りすぎていて全く仕事がはかどりません……。
せめてあと5年くらい新しいパソコンならもう少しサクサク動いてくれるのでしょうか? それとも不要なファイルとかアプリケーションを削除した方がいいのでしょうか
いずれにせよ、自分の思う速度とPCの動作速度が大きく離れているとストレス感じてしまいますよね。
ていうか、暑ない?
まだ五月も半ばだというのに、めっちゃ暑くないですか?
例年こんな感じでしたっけ?
もう周りでは半袖シャツやTシャツ姿の人を見かけるようになっています。
さらに、東海地方まではすでに梅雨入りということで、ジメジメした時期が近づいてくるのもデブにとっては憂鬱です。
梅雨があるおかげで作物が育って、美味しい食事を食べられるんだけど、それは知っているんだけど……汗がね……。
ヴィクトリアマイルダメでした
この記事を書いている途中にヴィクトリアマイルが終わっていたのですが、結果は御覧の通り惨敗……。
せめて馬連にしておけば……。
これで二連敗です。
前置きが長くなってしまいました。この下から本題です。
『スマホ脳』のまとめ
近所のスーパーに入っている書店で、黄色の表紙が目に留まりました。
それが
『スマホ脳』
アンデシュ・ハンセン著 久山葉子訳 新潮新書
流行り病の影響での巣ごもり需要もあり、普段よりもさらにスマホを頻繁に使うようになっているのではないでしょうか?
僕の場合、Twitterとウマ娘にかなり時間を吸い取られている状態です。
僕は8割娯楽2割仕事とプライベートの連絡という使い方をしています。
一昔前(ふた昔前)には『ゲーム脳の恐怖』という本が一躍有名となって、様々な媒体で紹介されていましたよね。
(その後の検証によって、疑似科学の疑いが強くなっているようですが……)
『スマホ脳』についても、後々データの蓄積が進むにつれて変わってきたりするのでしょうか?
……とまれ、中身を読んでいく前に『東大読書』的に仮説を立ててみました。
ちな『東大読書』についてはこちらの記事で取り扱っておりました。
興味がある方はドゾー
まずはカバーを眺めてみます。
新潮文庫のスタイリッシュなカバーの上から、目立つ黄色のカバーがかけられていますね。
黄色のカバーから情報を読み取ってみます。
・黄色地に黒文字……危険を表していそう
・『○○脳』というタイトルはポジティブかネガティブか?⇒たぶんネガティブ
・スマホが脳ミソに刺さっている……
・脳と一体化するほど、今の生活とスマホは密接不可分になっている?
・スマホの画面はSNSっぽい。脳にSNSがインストールされていく様子?
・エイリアンのフェイスハガーみたいに、脳に取り付いて悪さしている?
・赤くなっている部分に特に強く作用している?
Neuroinfo Japan:脳とそれをささえる器官のしくみ
・この図解からすると、小脳・視覚野・記憶のあたりに特に強く作用?
・赤くなっているのはダメージを負っているから?
つぎに煽り文
スティーブジョブズはわが子になぜiPadを触らせなかったのか?
(スマホ脳カバーより引用)
何故なのか? それほどの悪影響があるのか??
ということで、個人的な仮説は
- スマホは脳に悪影響を及ぼすという内容の本だろう
- 脳のなかでも視覚と記憶にダメージを与える根拠を知ることができる本
- IT開発者やスマホをつかった商売をしている人は、その害を知りながらスマホでの商売を続けている
という3点が大きな主張になりそうだと感じました。
スマホって超便利だよね
中身に入る前に、スマホのもたらした祝福、プラスの部分を見ていきましょう。
スマホの良い使い方の見本は、ホリエモンこと堀江貴文さんの動画で示されていると思いました。
(ホリエモンチャンネル 2019/10/12投稿『
手取り14万円がどうこうという部分は今回の記事と関係ないので割り引いてください。
個人的には手取り100万円ほしいし、何なら5000兆円ほしいです!!
とまれ……
この動画で堀江さんが主張している「情報の民主化」という現象は、インターネット通信網とスマートフォンの普及によってもたらされた大きな祝福であると感じました。
表層ウェブ上の情報であれば、根気強い検索を続けることでアクセスできるものが多く、翻訳機能の進歩により主要言語話者であればおおよその意味をつかむことができる
受信者でしかなかった一般大衆が発信側に回り、インターネット以前であればつながることのできなかった人とつながり、ビジネスを始めることもできる。
さらに、わざわざPCを起動する必要すらない作業もある。
スマホでブログを書いたり動画編集をしたり、実況動画を上げたりイラストを制作して販売したりなど、小さなビジネスであればスマホ一台で完結させることができる。
これは、今までにない画期的な変化なのでしょう。きっと。たぶん。
退屈になっても大丈夫
サブスクリプションサービスを利用することで、読みつくせないほどの本・見つくせないほどの動画コンテンツ・聞きつくせないほどの音楽にどっぷりつかることができます
このように、受動的/能動的の別なく、一般的な人々が情報にアクセスし受発信両方を行えるというスマホの祝福。
しかし、岡田斗司夫さんがよく言うことなのですが。祝福には同時に呪いがついてきます。
本書はその呪いの部分にフォーカスを当てた本なのでしょう。
我々の脳ミソは未だにサバンナのジャングルの中
はじめに「脳はまだサバンナの記憶の中にいる」ということが語られます。
肉体は21世紀にあっても、脳の機能は人類が狩猟採集を行って生命をつないでいた頃と変わらないのだそうです。
現代社会の生活と、サバンナの記憶を持つ脳。
このミスマッチによって肉体・精神の不調が引き起こされていると筆者は主張しています。
大食い遺伝子
はじめに紹介されるのは、カロリーや糖質を前にすると食べつくさずにはいられない大食い遺伝子です。
これは、本書のほかにもサピエンス全史においても取り上げられている、現代生活と人間の脳とのミスマッチの代表例でしょう。
狩猟採集生活をしている人が、たわわに実った果実を目にしたとき
- a.果実を一つだけ食べてその場を後にする
- b.周囲が安全なうちに食べられるだけ食べつくしてしまう。
2つの選択肢があった場合、生き残る可能性が高いのはbの行動をとった人でした。
次の日に再び木の下に行って、そこに果実が残っている保証はないのだから。
食べられるだけ食べてしまい、余分なカロリーは内臓脂肪や皮下脂肪として蓄える。
飢餓が訪れた時の予備として身体に脂肪をつけることは、生き延びる上で合理的な進化だったのでしょう。
翻って現代
高カロリーなもの、糖質たっぷりのお菓子などが財布にお金が入っていれば食べ放題食べることができます。
狩猟民のように一日中走り回る必要もないのだから、少しだけ食べて冷蔵庫にしまっておけば大丈夫。
しかし
脳ミソは今自分が現代に生きていることなど知る由もありません。
狩猟採集生活の記憶にのっとって
「甘いものとカロリーだ!! 誰かが手を付ける前に食いつくせ!!」
と指令を出します。
だから私たちは、冷凍庫にアイスクリームの容器を見つけると、空になるまで中身をせっせとスプーンで口に運び、ラージ・コークで胃袋に流し込む
(ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳 『サピエンス全史』p60)
ダイエットをしている身からするとゾクっとするような文章です。
そして心当たりがありすぎます。
このように狩猟採集生活では生存に有利だった行動が、現代では肥満・高血圧・高脂血症・糖尿病という、命を脅かす病の原因になってしまっています。
命を守るための、感情・ストレス
イライラしたり鬱々としたり、マイナスに語られるストレスも、当時のサピエンスたちにとっては生き残るために必要な機能でした。
例えば、獲物の群れを見つけたとき
例えば、身の丈を超えるライオンが現れたとき
例えば、怒り狂ったイノシシと遭遇したとき
そんな時に
「合理的選択理論に基づいて、選択肢を洗い出し、もたらされる効用とリスクを比較して……」
なんて考えている暇はなかったでしょう。
当時の人々に必要なのは
闘争or逃走
という至極シンプルな選択でした。
瞬時の判断が必要とされるときに役立ったのが「感情」「ストレス」というシステムだったそうです。
勝算が高いときには気分を高揚させ、低いときには恐怖によって逃走して命を長らえるという感情。
ネガティブな情報を受け取った時には他の機能の優先度を一時的に低下させてでも目の前の脅威に対して集中させるストレス。
この機能が狩猟採集生活の生存戦略だったとのこと。
さて、この機能を情報があふれかえる現代にもonにしてしまうと何が起こるか?
絶え間なく変化する状況に対して逐一警戒体制をとり続けストレスがかかり続けます。
周囲はかなり安全なはずなのに、脳は過去の記憶のまま生存戦略を実行し
「気をつけろ! 気をつけろ! 気をつけろ!」
と警報を鳴らし続けてしまいます。
これが、現代人が精神不調になる要因になっているそうです。
ドーパミンで脳ミソをハックするスマホ
文章詠むの怠くなってきた方々は、daigoさんのこの動画見ればパラグラフごと飛ばしていただいて結構です。
未だサバンナにいる脳ミソ君。
日々様々な化学物質を送受信して生命維持と子孫繁栄に努めています。
そんな脳ミソ君が好んでいるのは「ドーパミン」というホルモンです。
ドーパミンは「元気になるホルモン」として語られることも多いのですが実際の働きを観察すると「期待と原動力のホルモン」という方が的を射ているそうです。
ドーパミンで期待が膨らみ行動を起こす。行動が完結すると「エンドルフィン」が分泌される。
脳に快楽を与えるのは、このエンドルフィンの方なのだそう。
ドーパミンの分泌⇒行動⇒エンドルフィンの分泌
という行動と報酬がワンセットとなって脳に刻まれていることから、ドーパミンが出た段階で元気になっていると感じるようなのです。
そして、スマホとスマホコンテンツは、ドーパミンをドバドバ出させるのに最適なツールだといいます。
それはまるでドラッグのごとく
スマホが注射器や水溶液や蒸気を使わずに脳ミソ君をドーパミン漬けにできる理由
それは、脳ミソ君は新しい情報が大好きだから!!
脳には新しいことだけに反応してドーパミンを産生する細胞があり、よく知るもの、例えば「自分の家の前の道」といったものには反応しない。ところが、知らない顔のような新しいものを見ると、その細胞が一気に作動する
『スマホ脳』p72
とあるように、スマホの画面をタップしたりTwitterの画面をスワイプしたりして、新しい情報が表示されるたびに脳ミソ君はドーパミンを分泌し
「もっと新しいものはないか? もっと新しいことはないか? もっともっと……」
とさらにタップをするように働きます。
スマホのロック画面に表示されるプッシュ通知や、内容を細分化して複数ページに分けたサイト、画面いっぱいに表示される広告画面。
評判が悪いのになくならないのは、ドーパミンをドバドバ出させ、次のタップやスワイプを誘発しようとしているからなのでしょう。
不確実性で国民をドーパミン漬けにする企業戦略
新しい情報が次々と表示されるだけでも、期待のホルモンが出まくっているというのに、企業はさらにドーパミンを分泌させる方法を実装しています
これは脳ミソ君の「かもしれないが大好き!」という特性を上手に刺激することです
前述の通り、ドーパミンは期待のホルモンであり、食事やセックスなどの行動結果よりもその過程においてドバドバとでてくるそう。
さらに、結果が不確実である時に、最も分泌が促されるそうです。
心理学で有名なオペラント条件付けを示す「スキナー箱」の実験があります。
レバーを押すと餌が出てくるというやつですね。
このような実験施設に手を加え
- a.レバーを押すことで確実に餌が出てくる
- b.レバーを押すと確立によって餌が出てくる
という条件にしたところ、3~7割の確率で餌を出すときに最もドーパミン産生の部位が活性化したそうです。
これを見ると、ガチャゲーがどれほどうまく作られているかわかりますよね。
「いいね! がついているかもしれない」
「新しいニュースが入ってきているかもしれない」
と思わせることで、スマホを手に取らせる機会を増やしているのです。
スマホはポルノとも相性抜群!!
さらにさらに、ドーパミンをドバドバ出させるもののひとつであるポルノともスマホは相性が良すぎるのです。
いかがわしい店の自動販売機や、相手の年齢を確かめず売ってくれる店員さんや、毎週いかがわしい本が落ちている河原に出かける必要があったのは昔の話。
今は指先を少し動かすだけで、世界中の画像や動画をいくらでも探すことができます。
その気になれば修正されていないモノを見ることだって簡単にできてしまいます。
これほど相性の良い組み合わせもなかなかないのではないでしょうか?
スマホの害
ドーパミンドバドバ出てもいいじゃないか! 気持ちよくなれるんだから問題ないよ!
という意見もあるかと思いますが、それによる害が出ていることがわかってきているそうなのです。
集中力
「スマホを見たら○○があるかもしれない」
こんな風に期待をあおられて脳内物質が出ている状態で、集中しろという方が無理というものです。
集中力が必要な作業をさせて、スマホが目に入る群目に入らない群にわけた実験では、
サイレントモードにしたスマホがポケットに入っているだけでも成績が優位に落ちるという結果が出たそうです。
そこにあるだけで集中力を阻害する。
これは立派な害と言えそうです。
睡眠
人生にとって睡眠がどれほど重要か。
言い尽くされるほど議論されてきた内容です。
脳をバシャバシャ洗っているとか、記憶の固定化を行っているとか。
そんな睡眠ですが、スマホによって妨げられていることが確認されているようです。
スマホのアプリやSNSによってドーパミンがドバドバ分泌されることで、スマホへと注意を向けてしまうこと。ブルーライトによってメラトニン分泌が妨げられることが大きな理由で、睡眠の質量ともに低下してしまうそうです。
人間関係
科学的根拠は示されていないが、スマホの普及により我々は過去の同年代の人類と比較して、相手を思いやる心に欠けたナルシシストになりつつある。
という統計データが発表されたそうです。
延べ14,000人以上の大学生を対象に調査したところ、80年代以降人間関係に必要な能力が低下している傾向がみられるそうです。
顕著に低下している能力は「共感的配慮」と「対人関係における感受性」という2つだといいます。
スマホやインターネットが原因か、その他の要因が大部分を占めるのかまではわかっていませんが、昔より独善的なナルシシストになっている傾向は明らかに出ているとのことです。
まとめ それで、これからどうする?
さて、このように、我々の脳をハックして際限のないドーパミン漬けにしているスマホ
しかし、その恩恵も計り知れないものがあります。
まさにキリスト教で見られる「祝福と呪い」をもたらす機器です。
個人も社会もスマホ以前には戻れないし、より強いドーパミン分泌装置が出てくることは容易に想像できます。
そんなスマホやインターネットの社会と、私たちはどのような距離感で付き合うべきなのか? インターネット社会をどのように個人の資産に活かすべきなのか?
僕の個人的な感想になってしまいますが、個人的に重要だと思うことが2点あります
1.集中力を維持・向上することで周りの人間との差別化を図る
2.周りの人をよりスマホに耽溺させ、脳をハックできるコンテンツを発信する。
この二つをどうにかこうにか達成することで、周りより少し豊かな人生を歩めるような気がしました。
1.集中力を維持・向上することで周りの人間との差別化を図る
周りの人間が、スマホへの注意によって集中力を減退させられ続けている中で、最低限集中力を維持することで、自動的に自分の世界ランクを上げることができるでしょう。
たとえ初期性能は周りの方が高くとも、デバフがかかった相手であれば倒すことができる可能性が高くなります。
さらに自分以降の世代は、より集中力の低い状態で世に出ることが予想されるため、加齢による能力減退があっても少しは良い勝負ができるかもしれません。
2.周りの人をよりスマホに耽溺させ、脳をハックできるコンテンツを発信する。
今は可処分時間争奪戦の時代。
よりドーパミンをドバドバ出させるようなコンテンツを発信し、スマホを見続けていただくことで、そこに生まれる富のおこぼれを頂戴できるかもしれません。
スマホ耽溺が世界的トレンドであるならば
乗るしかねえ! このビッグウェーブに!!
そんなことをこの本を読みながら感じていました。
へば